雑多邪道録

基軸は万年筆趣向。その他、時々の「好物」と「言葉」を心の中の風がそよぐままに・・・

#3776というシリーズ

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プラチナ万年筆#3776シリーズ

ほんの数年前に手に入れたことで触れたモデルだけれど

どうやらその歴史も1978年から始まっていたらしい。 

 

最初に手にしたのは#3776 センチュリーだったことは

入手のタイミングとして本当に幸運だったと思う。

 

何故なら、インクの乾きを極力抑える「スリップシール機構」が

#3776シリーズのリニューアルに伴って搭載されたわけで

以前のバランスモデルなどには搭載されていなかったことを考えれば

軸やペン先のデザイン見直し等をも含めた満足感に差が生じたかもしれない。

 

ただ、この#3776センチュリーを初めて手にした時

ペン先の大振りなサイズ感や刻印のシンプルさに至るまで

インクを含ませてペンポイントを紙に走らせる以前であっても

既に安心感にも似た充実を得ていたように回想する。

 

ましてや、#3776シリーズのペン先(ニブ)に至っては

他メーカーモデルのラインナップとは一線を隔して

ステンレス製ゴールドプレート仕様のバランスモデル以外は

高価な上級モデルであっても、ほぼ統一された仕様なのが嬉しい。

 

勿論、世には様々なメーカーが在って

それぞれの書き味や使用感の好みもまちまちな故

#3776シリーズには今ひとつ馴染めない人も多数居ようが

その反面、熱心なファンも多いこともまた事実であって

今や自分もその一人となった。

 

これからも度ある毎にこのペンを握っては

あれこれと好みのインクで文字を記してゆきたいと思う。

そんな今日この頃。

 

足かけ40年の目からウロコ

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目からウロコ

もう40年ほど前のこと。

万年筆はパーカーかプラチナ!

中学に入学する前の蒼臭い少年。

大した経験も無いくせに、その勝手な思い込みから始まって
その約10年後に社会人となった矢先
舶来製品を持つにはおこがましいと思い
ならば、「自らに相応しい万年筆はプラチナしかない!」と
勇んで大阪の百貨店まで買い求めに行った記憶。

そうとは云うものの
当時どんなモデルの万年筆を買い求めたのか
全く以って記憶は不鮮明であり
精々、ペン先は18金であったことと
軍資金はたかだか5千円程度であったことのみ覚えている始末。

やがて、日々の仕事の中で愛用し続けて8年ほど経過した頃
不慮のアクシデントで悲しくも修理不能状態になり
給料支給直前でなけなしの財布をひっくり返して
またもや1万円弱だったプラチナ万年筆を購入した。

しかしてその2代目さんも
不慮の事故で、今度は行方不明と相成って
生活的な転機の影響で万年筆との親密なご縁から遠ざかり
そこからかれこれ約10年ほど経過した3年前頃。

何の気なしにぶらぶらと暇つぶしがてら訪れた家電量販店の文具売り場。
ガラスのショーケース中にあった
これまたプラチナのリーズナブルなデモンストレーターに魅了され
風の便りで底なしの深さとウワサに聞く沼の上に
浅はかにもタライ舟を浮かべて漕ぎ出すに至った。

何せずっと永らく万年筆ならプラチナ以外に目もくれず
とはいえ至極の高級な1本にも手を出すことも無く
ましてやひたすらに使い続けてきたのは純正の黒インクとあっては
最近になってから認識した各メーカー色とりどりのインクには驚きを隠せず
ネット通販画面で眺める他社製万年筆の数々にも興味を抱かずには居られない。

そんなこんなで
万年筆と云うものを握り始めてから約30年以上経過した昨今。
治まらぬ好奇心から、先ずはセーラー万年筆の1本に手を出してみた。
これまで知る由もなかった握りの感覚と書き心地の差を体感して
涎が出そうなほどの感動と同時に悦に入った。

かくして、自らに言い聞かせる。
万年筆はプラチナだけと思うべからず。

 

青(蒼)い万年筆

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世界遺産たる大聖堂の聖なる色

フランスにあるというシャルトル大聖堂

ユネスコ世界遺産にも登録されるほどの名所旧跡らしいが

正直なところ、ごくごく最近まで知識の片隅にも存在しなかった。

恐らく、万年筆というモノに興味すら抱いていなければ

生涯で認識する機会さえ無かったかもしれない。

 

この点、昨今幸いにも知るきっかけとなったのは

プラチナ万年筆の青い1本を手に入れたこと。

何とも深く、美しく、神々しく眼に押し寄せる青い色。

しかも、ステンドグラスの如く絶妙な透過色の素材が使用されたボディー。

デモンストレーターのスケルトンとは一味違った独特の風格を実感する。

 

無論、定番で黒々としたボディーの万年筆も十分に魅力的である一方

シャルトル大聖堂の比類なく美しいステンドグラスの青色に敬意を表して色味の再現を試みた(概略)」

というメーカーの拘りと特色あるボディーを纏った1本は

14金のペン先(ニブ)仕様であっても良心的な価格設定が為され

例えば、初心者であっても入門用としては価格も含めて手に取りやすく

ユーザーとなった満悦も手伝って、心なしかしたためる文字のリズムが子気味良い。

 

余談になるが、冒頭の写真では、ボディーの<透けてる感>撮影に少々苦労した。

キャップ内側にペン先(ニブ)、軸内にコンバーター等の影が見えることと思う。

決して、レントゲンか何かの特殊な撮影を行った訳ではなく

ペンの向こう側から全体的な光を当てるべく稚拙な知恵を絞ってみた。

 

尚、プラチナ万年筆の#3776シリーズに採用されるペン先(ニブ)は

他社同等モデルのものと比較すると大きめで弾力性にも富んでいて

万年筆愛好者の中でも好みが二分されていると噂で聞くけれども

因みに、自分は中字(M)のものに青色インク(Waterman)を入れて使用中ながら

インクフローの良さも手伝って、さらさらと心地よい筆記感には満足している。

 

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プラチナ万年筆

#3776 センチュリー シャルトル・ブルー

http://www.platinum-pen.co.jp/fountainpen_century_chartreblue.html