雑多邪道録

基軸は万年筆趣向。その他、時々の「好物」と「言葉」を心の中の風がそよぐままに・・・

足かけ40年の目からウロコ

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目からウロコ

もう40年ほど前のこと。

万年筆はパーカーかプラチナ!

中学に入学する前の蒼臭い少年。

大した経験も無いくせに、その勝手な思い込みから始まって
その約10年後に社会人となった矢先
舶来製品を持つにはおこがましいと思い
ならば、「自らに相応しい万年筆はプラチナしかない!」と
勇んで大阪の百貨店まで買い求めに行った記憶。

そうとは云うものの
当時どんなモデルの万年筆を買い求めたのか
全く以って記憶は不鮮明であり
精々、ペン先は18金であったことと
軍資金はたかだか5千円程度であったことのみ覚えている始末。

やがて、日々の仕事の中で愛用し続けて8年ほど経過した頃
不慮のアクシデントで悲しくも修理不能状態になり
給料支給直前でなけなしの財布をひっくり返して
またもや1万円弱だったプラチナ万年筆を購入した。

しかしてその2代目さんも
不慮の事故で、今度は行方不明と相成って
生活的な転機の影響で万年筆との親密なご縁から遠ざかり
そこからかれこれ約10年ほど経過した3年前頃。

何の気なしにぶらぶらと暇つぶしがてら訪れた家電量販店の文具売り場。
ガラスのショーケース中にあった
これまたプラチナのリーズナブルなデモンストレーターに魅了され
風の便りで底なしの深さとウワサに聞く沼の上に
浅はかにもタライ舟を浮かべて漕ぎ出すに至った。

何せずっと永らく万年筆ならプラチナ以外に目もくれず
とはいえ至極の高級な1本にも手を出すことも無く
ましてやひたすらに使い続けてきたのは純正の黒インクとあっては
最近になってから認識した各メーカー色とりどりのインクには驚きを隠せず
ネット通販画面で眺める他社製万年筆の数々にも興味を抱かずには居られない。

そんなこんなで
万年筆と云うものを握り始めてから約30年以上経過した昨今。
治まらぬ好奇心から、先ずはセーラー万年筆の1本に手を出してみた。
これまで知る由もなかった握りの感覚と書き心地の差を体感して
涎が出そうなほどの感動と同時に悦に入った。

かくして、自らに言い聞かせる。
万年筆はプラチナだけと思うべからず。